目に映る緑の絨毯に、ふと、遠い異国の地を想う。
ここは日本の、とある穏やかな丘。
この草のうねり、陽の光を浴びて輝く葉の一枚一枚が、私をザクロス山脈の麓に暮らすカシュガイ族の遊牧民の想いへと誘う。

小さな荷物を抱え、ゆるやかな坂道を登っていく。これは、まさに遊牧民たちが季節の移ろいとともに移動する姿、その旅路の始まりを思わせる。
ザクロス山脈の峻厳な自然の中で、彼女たちは家畜と共に生き、家族と共に織り、そしてその生活のすべてが、一枚の絨毯に込められていく。

空の青と大地の緑のコントラストは、絨毯の鮮やかな色彩を彷彿とさせ、彼らの営みが、この地球のどこかで今も息づいていることを教えてくれる。
私の足元に広がる草の絨毯はきっと、彼女たちの織り上げた絨毯と同じように、そこに触れる者の心を包み込み、遠い記憶を呼び覚ますのだろう。