「子供は誰でも芸術家だ。問題は、大人になっても芸術家でいられるかどうかだ」
かつてパブロ・ピカソは、そう語りました。
ギャッベを静かに眺めていると、ふとこの言葉を思い出します。


そこにあるのは、計算された完璧さではなく、心の赴くままに織り上げられた文様。
まっすぐな線もあれば、少しゆらいだ線もある。色の重なりも、どこか自由です。
それはまるで、子供が描いた絵のような、作為のない「おおらかさ」に満ちています。
ピカソはまた、こんな言葉も残しています。
「色彩は、顔立ちのように、感情の変化に従う」






嬉しかった日。
穏やかな日。
あるいは、誰かを想う日。
織り子のその時々の感情が、ひと目ひと目に宿る。
その積み重ねが、均一ではない「ゆらぎ」となって、唯一無二の表情をつくり出します。
作為のないデザインと、感情のままに選ばれた色彩。

私たちがギャッベに惹かれ、何度見ても飽きることがないのは…
大人になる過程でどこかに置いてきてしまった「自由」や「素直さ」が、そこに息づいているからかもしれません。
人が普遍的に求める「豊かさ」とは何か。
その答えは、案外、こんな素朴な織物の中に、静かに織り込まれているのかもしれません。

